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ネック修正・矯正

 以前ツアーで来日したジャズ系の黒人ベーシストに会う機会があり、持って来たベースを見せてもらいました。 自慢げに見せてもらったベースは本国アメリカでオーダーメイトしたそうですがスルーネックのスペクター風でした。 驚いたのは弦高が指一本入るのではないかというような弓反りベースをでかい手で 迫力のあるチョッパーをバンバン決めて弾いていた事です。この人はどれくらい弦高あげれば「うーんちょっと高い ね」と言うのだろう。さすがアメリカだなあと思った瞬間でした。

 ギターは木製です。木目や密度など同じ状態の物は存在しません。以前OEMで最終組み立てをやっていたとき国産の 定価8万円前後のレスポールなんですが、千本に一本位の割合でバランスばっちりで激鳴りの物があり、このギター を買った人は宝くじが当たったようなものだなと思いながら納品したことがありました。ストラトのようなボルトオ ンネックではそんな事は感じられませんでしたがセットネックギターでは良いギターと悪いギターのばらつきがあり ます。ネックの反りは木の材質に大きく左右されます。これからギターを買う人はネックを裏から見て木目のバラン スが悪いものは避けた方が良いでしょう。エボニー指板のギターは協力なエボニーの反りに左右されることもありま す。

 ギターの修理の中でも厄介な部類に入るのがネック修正です。ネックが反っている、捩れているギターを弾いていると フレットがびびる場所があったりとか弦高が高く弾きずらいなどの問題が発生します。修理の際、ネック修正を指定し てくるオーナーはあまりいません。弦高が高いので低くしたいとかびびるといった症状で持ち込まれます。若干の反り はトラスロッドの入ったギターですと自分でも簡単に調整出来ますが、ロッドで調整しきれないときは別の処置が必要 になります。

 

 トラスロッドでの調整で直らない場合は指板修正となりますが、指板を削って平にするには限界があります。指板は通常 5mm位の高さで指板材がラミネートしてあるのですが削れる範囲は1mm程度です。貝でポジションマークが埋められている ギターなどでは削りすぎるとポジションマークの高さは2mm程度しかありませんので無くなってしまう事があります。フ レットは抜いて作業しますが削りすぎるとフレット溝も浅くなってしまう為溝の切りなおしが必要になります。この範囲 で修正出来ない場合は特殊な矯正用アイロンを使ってネックに熱をかけ、真っ直ぐになるよう矯正します。捩れについて も矯正します。半日程熱をかけ二日くらいかけて冷ましアイロンを外し様子を見ます。矯正が足りないと繰り返します。 治らない場合は順反りの場合は逆反り、逆反りの場合順反りに固定したまま数ヶ月放置することもあります。矯正はじっ くり時間を掛けておこないます。ある程度ネックを良い状態にしてから指板修正します。ラッカー塗装のギターは塗装が 傷むこともありますが痛んでしまった場合は再塗装します。

 ベースはネックが長く弦のテンションも大きいのでギターよりもネック反りの確立が高くなります。ベースは弦を張 った時に真っ直ぐになるよう調整します。ジャズベースなどで多いのがトラスロッドが3〜5フレット付近で利いてい て15フレット付近が陥没してしまい指板が緩くS字型に曲がってしまっている物です。弦を張ったまま長い時間放置 しネックを直そうとトラスロッドをいじったものの思うように利いてくれないとこういう現象になります。弦のテン ションでこのように変形してしまったのです。やはり弾かない時は弦をなるべく緩めた方が良いでしょう。

 通常量産品は指版のアールの付いた大きな板にベルトサンダーが回っていて指板面をヤスリ面に押し付け円柱状に アールを整形しています。従って指板アールは1フレットから最終フレットまで同じになります。アールの浅いギタ ーはさほど気になりませんがギターは弦間隔がブリッジ側で広がっている構造になっていますので弦はナット側と ブリッジ側ではセットされているアールが違います。中心から端の方にいくに従って円柱に対し斜めに弦がセット される為理論上矛盾しています。アールのきついフェンダーが例に挙げられますがやはり低い弦高を好む人には不向 きです。指板を1・6弦側を真っ直ぐにセットすると3・4弦は順反りになりハイフレット側で音詰まりが起きま す。フェンダーの基準では12フレット上で6弦までの高さが3.0mm、1弦で2.5mmですのでそれ以下の弦高には対応出 来ません。どうしてもストラトで弦高を低くセットしたい人は指板修正をし、円柱状の指板を円錐状の指板に変更し なければなりません。

 弦高はプレイヤーによって、音楽のジャンルによっても好みが変わってきます。ネック調整はプレイヤーとよく話 し合い、好みとか弦の種類を把握することでベストセティングが見えてきます。